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お知らせ
うぐいすのなく頃に [Livly]
※今回の記事にて、文中に、ハーボットのカカオとポストペット（イヌ）のファウストが出てきますが、完全にリヴリーネタになっていますので、カテゴリはLivly Island扱いです。ご了承ください。
イベントは昨日だったので、本当は昨日のうちに書きたかったのですが、今日になってしまいました。
また、お分かりの方も多いと思いますが、記事タイトルの元ネタは『ひぐらしのなく頃に』です。
4月1日。そろそろ、うぐいすが鳴いてもおかしくはないこの頃。
実際のところ、まだうぐいすが鳴いたわけではなかった。しかし、時々、うぐいすの鳴き声のようなさえずりが聞こえる。
そんな中…。
「おい、カカオ」
ポストペットの世界において、イヌとしてメールを配達しているファウストが、『カカオヴィレッジ』というHPに設置されているハーボックスに住み着いている、ハーボットのカカオに声をかけた。
「何？ 最近あったお花見イベントのこと？」
「ああ、その話があったな。まあ、今年も前と変わり映えしないお花見だった。他のペットたちとコミュニケーションができたというのはよかったな」
「他にも何かあったんじゃないの？」
「何かって…。ああ、おやつやアクセサリのことか。あれは、俺は手に入らないものだ」
「そうか、ファウストは“ウメポ”のポストペットだもんね。確か、ウメポの場合は、専用のスペースから、イベントのおやつがもらえるんだよね」
「そういうことだ。だから、お花見イベントから手に入るものは、みんなエリスに持っていかれるんだ」
エリスというのは、ファウストと同じく、ポストペットの世界でメールの配達を行っている存在である。エリスはコモモ族と呼ばれる種族だ。
ちなみに、エリスは「PostPet V3」のペットである。イベントで配布されるおやつなどは、この「PostPet V3」や、その前のバージョンである「PostPet 2001」の形式で配布されている。そのため、ウメポ…Web メール de PostPetで活躍するファウストは、別の手段で、イベントのおやつや家具を手に入れているのだ。
「カカオのほうは？」
「僕のところは、今年はひなまつりもエイプリルフールもなかったよ」
カカオが住むハーボリオンは、何やら大きく変わりつつあるという。その全貌は明らかになっていないが、断片的に明かされている部分がある。果たして、全てが明らかになるのはいつだろうか？
現在は、この変わりつつある何かのため、毎年恒例で行われている、ひなまつりイベントやエイプリルフールイベントが、今年は行われなかった。…そのため、ハーボリオンは静かだった。
「そういえば、ポストペットの世界では、今年もエイプリルフールに何かあったみたいだね」
「ああ、モモの花さんのことか」
「そうそう。あの記事、手が込んでいるよね」
「他にも、コモモさんがどうとか書いてあったよな」
昨日発行された、ポストペットの新聞。そこには、生モモファミリーの一員であるモモの花さんの特集記事が組まれていた。モモの花さんは、何やら謎めいたところがあるテディベアだが、今回も、やはり謎めいた行動をしていたようである。
「おや、あのアイランドは」
「フライトちゃんのアイランドだね」
ファウストもカカオも、リヴリーのフライトが住んでいるアイランドを見つけた。
フライトはピキという種族だ。だが、元々はパキケという種族だった。種族を変えることができる「ネオベルミン」という薬で、ピキになったのだ。
「フライトちゃ～ん」
カカオとファウストは同時に声をかけた。
「あ、カカオさん、ファウストさん！」
フライトは、こちらに気づいてくれた。…何やら考え込んでいるようだ。
「どうしたの？」
カカオが訊いた。
「実は、明日、新しいアイランドが出るんですよ。それがちょっと楽しみで」
フライトは答えた。
「そうだったのか。で、新しいアイランドの名前は？」
ファウストが訊いた。
「え～と…、ああ、『野花の島』です」
フライトは、何やらメモを見ながら答えた。
「フライトちゃん、そのメモは？」
「ああ、実は…」
フライトは、ファウストの問いに、一呼吸置いてから説明した。
「昨日のことですけれど、ミュラー博士が何者かに襲われたんです。とは言っても、直接危害を加えられたわけではなく、ミュラー博士の部屋の机にびっくり箱を仕掛けて、博士を気絶させたんですよ」
「ええっ？ それってやっぱり、エイプリルフールだから？」
カカオは驚いた。
「いくらエイプリルフールとはいえ、性質の悪い話だな…。で、その事件とそのメモと、何か関係が？」
ファウストも、どうやら驚いたようだ。だが、元々は、フライトが持っていたメモのことを訊いていたのだ。
「その後、新聞社から告知が出たんです。新聞社側で手に入れた手がかりを元に、犯人を推理してくれって。推理に必要なメモは、新聞社にありました。で、そのメモと一緒に、新しくリリースされるアイランドとアイテムのリストもあったんですよ」
フライトは、続きを説明した。
「そうだったのか…。で、犯人については？」
ファウストが訊いた。
「容疑者のリストはこれです」
フライトはそう言うと、新聞社にあったメモの写しを、カカオとファウストに見せた。
…道理で、ちょっと様子がおかしかったわけだ。新しいアイランドのリリースだけなら、こんなに考え込んではいなかっただろう。
「エズメラルダ、ムスターファ、ムルダ、島屋匠ノ助、ベナルド、ウーティ、ビーティ…の7人か。特徴からして、みんな怪しそうだが…」
ファウストは考え込んだ。
「フライトちゃん、新聞社に手がかりがいろいろあったんだよね？」
カカオは、それが見たいようだ。
「ありましたよ。それも書き取ってあります」
フライトは、メモの写しを見せた。
その1
びっくり箱はマハラジャが作成したアイランド用アイテムの試作品で少々危険なもの。
作った箱は全部で3つだそうだ。
マハラジャは、今から4日前に実際に手に取って試してもらうために、エズメラルダ、ムスターファ、ムルダの3人に渡していた。
その2
エズメラルダは、1日前、2日前と海外へエサの仕入れに行っていて、その間は誰とも会っていない。
その3
博士の奥さんのジュリエットさんからの情報。
ミュラー博士が気絶する2時間前に、海外から戻ってきたばかりのエズメラルダを研究室に案内した。
博士が留守だったので、エズメラルダはすぐに帰ってしまったらしい（どうも怪しい）。
その後ずっとエズメラルダは自分の店にいた。
その4
2日前、盗難事件があったというので、その日のうちにムルダを取材した。
盗まれたのは「びっくり箱」だった。
アンケートの集計作業中に盗まれたのだという。
私の知る限り、この1週間で起きた盗難事件はムルダ事件だけだ。
私が知らないということは、他の盗難事件は起きていないと言っていいだろう。
その5
昨日、久しぶりに虫の話を聞きにムスターファの家に行った。
その時に「びっくり箱」がちゃんと棚に飾ってあるのを見た覚えがある。
その6
そういえば、3日前に盆栽の取材で匠ノ助の家に行ったところ、試作品の「びっくり箱」を見せてもらった。
誰かにもらったと言っていたな。
今日も「びっくり箱」は家にあるようだ。
容疑者の誰か一人は、3日前にびっくり箱を手放しているということか。
その7
昨日、海外出張中のエズメラルダから電話があった。
あわてて出かけたので、「びっくり箱」をスーツケースに入れて持ってきてしまったと笑っていた。
そそっかしい奴だ。
その8
現場の状況から見て、ミュラー博士を気絶させた犯人は一人だ。
その9
「そういえば！」とジュリエットさんが電話をしてきた。
ミュラー博士が気絶する20分前に研究室の掃除をしたが、その時にはまだ「びっくり箱」はなかったそうだ。
また、その後にジュリエットさんは買い物に行っていたらしい。
その間に誰かが置いたことになる。
その10
ベナルドは今日は宝くじを作っていて家から一歩も出ていない。
その11
ウーティはビーティと一週間ずっと一緒だった。
その12
ビーティは5日前から旅行に行って、今日帰ってきた。
「全部で12枚か…」
ファウストが言った。
「フライトちゃん、このメモ、日付順にはなってないよね？」
カカオが訊いた。
「そうなんです。なんだか、“訊いた順番に並べてある”っていう感じがしますね」
フライトは答えた。
「だったら、こういうのは、時間経過順に並べたほうがわかりやすい。ただ闇雲に並べると、推理がうまく進まないからな」
ファウストの言うことはもっともである。
「それじゃ、時間経過順に並べて、それから考えよう」
というわけで、三人の推理が始まった。
メモを時間経過順に並べ替え、そこから推理する三人。
また、カカオは、メモ毎に、気づいた点や考えられる点を書きとめていた。
「これはメモの番号毎にまとめたものだけど…」
「それも十分使えるな。見せてくれ」
ファウストに促され、カカオは、自分の考えを、ファウストとフライトに公開した。
カカオのメモは次のとおり…。
その1より
…4日前の段階で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ
○ムスターファ
○ムルダ
その2より
エズメラルダは、事件の1日前と2日前は誰とも会っていないようだが、3日前なら会った可能性がある。
その3より
…エズメラルダが博士の家に行ったのは2時間前。その後すぐに帰った。それからは自分の店にいる。
その9のことを考えると、犯行の2時間前に帰り、それから自分の店にいて、どこにも出かけなかったのなら、エズメラルダに犯行は不可能？
その4より
…2日前の段階で、ムルダは「びっくり箱」を持っていない。
3日前なら持っていたようだ。
他の誰かが持っている。
その5より
…昨日（1日前）の段階で、ムスターファは「びっくり箱」を持っている。
ただし、2日前と3日前はどうだかわからない。
その6より
…匠ノ助は、マハラジャから「びっくり箱」を直接もらっていない。
手に入れたのは3日前。
誰かからもらった？
また、事件当日、匠ノ助は「びっくり箱」を持っている。
その7より
…昨日（1日前）の段階で、エズメラルダは「びっくり箱」を持っている。
その8より
事件は単独犯。
その9より
…「びっくり箱」が仕掛けられたのは、事件の20分前から事件の間。
その10より
ベナルドは、事件の当日はどこにも出かけていない。
ベナルド自身が手を下すことは不可能？
その11より
ウーティとビーティは1週間行動を共にしている。
その12より
ウーティとビーティは5日間旅行に行っていた。
「びっくり箱」の試作品ができたのは4日前。
帰ってきてから誰かと接触がない限り、犯行は不可能？
「なんだか、事件がぼんやり見えてきたような気がするな」
ファウストが言った。
「これで、容疑者から外れる人がいますね」
フライトも言う。
「それは？」
カカオが訊いた。
「まず、ベナルドさんです。カカオさんの指摘にもあるとおり、この事件は、事件当日に出かけていないと犯行不可能です。ベナルドさんはずっと家にいたというので、ベナルドさんには犯行不可能です」
「そうだね。それは僕も同感だよ」
フライトの説に、カカオはうなずいた。
「俺もだ。ベナルドにアリバイがないのも事実だが、この証言が本当なら、ベナルドに犯行は不可能だな」
ファウストも納得したようだ。
「続いて、ウーティさんとビーティさんです。この二人もまた、カカオさんの指摘にあるとおり、びっくり箱は持っていないので、犯行は不可能です」
フライトは続きを説明した。
「俺も、それには納得だ」
ファウストはうなずく。
「カカオさんの指摘のとおり、誰かと接触でもない限り、犯行は不可能です。それに、このお二方は、1週間前から行動を共にしていたというので、この二人の犯行ともなれば、メモその8の内容が覆ります」
フライトは説明する。
「つまり、この二人は容疑者から外れる、と」
「そういうことです、カカオさん」
となると、容疑者は4人だ。
エズメラルダ、ムスターファ、ムルダ、島屋匠ノ助。
「ここで、時間経過が重要になってくるな」
ファウストが言った。
「そうそう、事件当日にびっくり箱を持っていなければ、犯行は不可能だよね」
カカオが指摘する。
「じゃあ、俺が時間経過と共に、箱の所有者を整理してみよう」
ファウストは、時間経過順にまとめたリストを書き出した。
びっくり箱の所持者
…4日前の段階で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ
○ムスターファ
○ムルダ
3日前の時点で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○匠ノ助
○ムルダ（ただし、3日前にすでに盗まれていたのなら、これは覆る）
○エズメラルダ（その7から考えて、もらったびっくり箱をそのままスーツケースに入れたようだ）
…ムスターファは持っていないということになる
（ムルダが3日前に盗まれていなければ、の話だが）
これから考えると、ムスターファが匠ノ助にびっくり箱をあげたようだ。
2日前の時点で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ（その7から考えて、出かけた2日前から所持していたと考えられる）
○匠ノ助（その6より。手に入れた後手放さなければ、の話だが）
○？？？（ムルダのびっくり箱を盗んだ張本人）
昨日（1日前）の段階で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ（その7より）
○ムスターファ
○匠ノ助（その6にて、事件の3日前に手に入れたとある）
事件当日、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ（スーツケースに入れっぱなしだった、ということが条件）
○匠ノ助（メモ6より）
○ムスターファ（1日前の段階がそのまま適用されれば、の話）
「…つまり、ムルダさんは容疑者から外れるということになりますね」
フライトが言った。
「事件の2日前に、箱を盗まれたんだからね」
「そのまま箱が戻ってこなければ、ムルダには犯行は不可能だ」
カカオもファウストも、フライトの説にうなずく。
「となると、容疑者は三人…」
カカオがこう言うと、ファウストが付け加えた。
「いや、二人だ」
「あ、そうか！ エズメラルダさんにも、犯行は不可能ですね。カカオさんも指摘しているじゃないですか」
「あ、それもそうだね」
そう、フライトが手に入れた手がかりから、カカオは、エズメラルダを容疑者から外していたのだ。
「となると、容疑者はムスターファか島屋匠ノ助か…？」
ファウストは考え込んだ。
三人の推理は、容疑者を二人に絞り込んでいた。
「そもそも、なんぜムルダさんのびっくり箱を盗んだんだろう？」
カカオが言った。そう、事件の2日前に、ムルダのびっくり箱が、何者かに盗まれているのだ。これは事実である。
「…事件の前日には、ムスターファさんがびっくり箱を持っていますね。3日前は持っていたのに」
フライトが言った。
「待てよ…。となると、箱を盗んだのはムスターファか？」
ファウストは、そういう結論に達した。
「……そうなるよね…。事件の前日には箱を持っていたんだし、箱は3つしかないから」
カカオも言う。
「それじゃ、なんで盗まなきゃいけなかったのかしら…？」
フライトは訊いた。だが、これは、カカオにもファウストにも投げかけられてはいなかった。もはや、ムスターファに向かって問われたことと言っていいだろう。
「だが、島屋匠ノ助が容疑者から外れたわけじゃない」
ファウストが言った。
「僕らが考えて、容疑者はこの二人のうちのどちらか、だね」
カカオの言葉に、フライトもうなずいた。
「そうですね…」
できれは、フライトは信じたくなかった。
次の日（4月2日）。
フライトは、予告されていた「野花の島」を手に入れていた。
また、新作アイテム「タンポポの種」を、アイランドに飛ばしていた。
そこへ…。
「フライトちゃーん！」
カカオとファウストがやってきた。
「あ、カカオさん！ ファウストさん！ 真相がわかったんですよ！」
「ええっ！？」
思ったよりもかなり早く、事件の真相が明かされたことに、カカオもファウストも驚きを隠せなかった。
「で、一体？」
カカオが訊いた。
「これを見てください！」
フライトの手には、リヴリータイムズの号外があった。
カカオは、フライトからそれを受け取ると、ファウストと共に見入った。
「……そういうことだったんだね」
読み終わってから、カカオが言った。
「まあ、穏便に済んでよかったな」
ファウストも言う。
「本当にそうですよ」
フライトも言った。
「ところで、バンブーアンケートパークには行ったの？ 犯人は誰かっていう推理のアンケート、やってたんでしょう？」
「いいえ、行きませんでしたよ、カカオさん。こんなに早く真相がわかるなんて、思ってもいませんでしたから。真相がわかってからアンケートに答えるというのもおかしいですし」
「それもそうだね」
「何はともあれ、解決してよかったよ」
「ええ」
こうして、三人は、またいつもどおり、いろいろなことを話していた。
今回は、勢いに乗って、小説仕立てにしました。
三人が事件の真相を推理する場面ですが、これは、昨日のうちに私が考えたことです。
今日になってから、バンブーアンケートパークに行こうと思っていたら、真相が明かされていたので、正直言って気が抜けました。アンケートの回答期限及びリヴリータイムズ社でのメモの公開日程を考えて、真相が明かされるのがもう少し先だったらよかったのに、と思いました。
『Livly Island』『リヴリーアイランド』は、ソネットエンタテインメント株式会社の商標です。
リヴリーアイランドに関わる著作権その他一切の知的財産権は、ソネットエンタテインメント株式会社に属します。
このサイトは『リヴリーアイランド』およびソネットエンタテインメント株式会社とは一切関係がありません。
リヴリーについてはこちらをどうぞ。
イベントは昨日だったので、本当は昨日のうちに書きたかったのですが、今日になってしまいました。
また、お分かりの方も多いと思いますが、記事タイトルの元ネタは『ひぐらしのなく頃に』です。
4月1日。そろそろ、うぐいすが鳴いてもおかしくはないこの頃。
実際のところ、まだうぐいすが鳴いたわけではなかった。しかし、時々、うぐいすの鳴き声のようなさえずりが聞こえる。
そんな中…。
「おい、カカオ」
ポストペットの世界において、イヌとしてメールを配達しているファウストが、『カカオヴィレッジ』というHPに設置されているハーボックスに住み着いている、ハーボットのカカオに声をかけた。
「何？ 最近あったお花見イベントのこと？」
「ああ、その話があったな。まあ、今年も前と変わり映えしないお花見だった。他のペットたちとコミュニケーションができたというのはよかったな」
「他にも何かあったんじゃないの？」
「何かって…。ああ、おやつやアクセサリのことか。あれは、俺は手に入らないものだ」
「そうか、ファウストは“ウメポ”のポストペットだもんね。確か、ウメポの場合は、専用のスペースから、イベントのおやつがもらえるんだよね」
「そういうことだ。だから、お花見イベントから手に入るものは、みんなエリスに持っていかれるんだ」
エリスというのは、ファウストと同じく、ポストペットの世界でメールの配達を行っている存在である。エリスはコモモ族と呼ばれる種族だ。
ちなみに、エリスは「PostPet V3」のペットである。イベントで配布されるおやつなどは、この「PostPet V3」や、その前のバージョンである「PostPet 2001」の形式で配布されている。そのため、ウメポ…Web メール de PostPetで活躍するファウストは、別の手段で、イベントのおやつや家具を手に入れているのだ。
「カカオのほうは？」
「僕のところは、今年はひなまつりもエイプリルフールもなかったよ」
カカオが住むハーボリオンは、何やら大きく変わりつつあるという。その全貌は明らかになっていないが、断片的に明かされている部分がある。果たして、全てが明らかになるのはいつだろうか？
現在は、この変わりつつある何かのため、毎年恒例で行われている、ひなまつりイベントやエイプリルフールイベントが、今年は行われなかった。…そのため、ハーボリオンは静かだった。
「そういえば、ポストペットの世界では、今年もエイプリルフールに何かあったみたいだね」
「ああ、モモの花さんのことか」
「そうそう。あの記事、手が込んでいるよね」
「他にも、コモモさんがどうとか書いてあったよな」
昨日発行された、ポストペットの新聞。そこには、生モモファミリーの一員であるモモの花さんの特集記事が組まれていた。モモの花さんは、何やら謎めいたところがあるテディベアだが、今回も、やはり謎めいた行動をしていたようである。
「おや、あのアイランドは」
「フライトちゃんのアイランドだね」
ファウストもカカオも、リヴリーのフライトが住んでいるアイランドを見つけた。
フライトはピキという種族だ。だが、元々はパキケという種族だった。種族を変えることができる「ネオベルミン」という薬で、ピキになったのだ。
「フライトちゃ～ん」
カカオとファウストは同時に声をかけた。
「あ、カカオさん、ファウストさん！」
フライトは、こちらに気づいてくれた。…何やら考え込んでいるようだ。
「どうしたの？」
カカオが訊いた。
「実は、明日、新しいアイランドが出るんですよ。それがちょっと楽しみで」
フライトは答えた。
「そうだったのか。で、新しいアイランドの名前は？」
ファウストが訊いた。
「え～と…、ああ、『野花の島』です」
フライトは、何やらメモを見ながら答えた。
「フライトちゃん、そのメモは？」
「ああ、実は…」
フライトは、ファウストの問いに、一呼吸置いてから説明した。
「昨日のことですけれど、ミュラー博士が何者かに襲われたんです。とは言っても、直接危害を加えられたわけではなく、ミュラー博士の部屋の机にびっくり箱を仕掛けて、博士を気絶させたんですよ」
「ええっ？ それってやっぱり、エイプリルフールだから？」
カカオは驚いた。
「いくらエイプリルフールとはいえ、性質の悪い話だな…。で、その事件とそのメモと、何か関係が？」
ファウストも、どうやら驚いたようだ。だが、元々は、フライトが持っていたメモのことを訊いていたのだ。
「その後、新聞社から告知が出たんです。新聞社側で手に入れた手がかりを元に、犯人を推理してくれって。推理に必要なメモは、新聞社にありました。で、そのメモと一緒に、新しくリリースされるアイランドとアイテムのリストもあったんですよ」
フライトは、続きを説明した。
「そうだったのか…。で、犯人については？」
ファウストが訊いた。
「容疑者のリストはこれです」
フライトはそう言うと、新聞社にあったメモの写しを、カカオとファウストに見せた。
…道理で、ちょっと様子がおかしかったわけだ。新しいアイランドのリリースだけなら、こんなに考え込んではいなかっただろう。
「エズメラルダ、ムスターファ、ムルダ、島屋匠ノ助、ベナルド、ウーティ、ビーティ…の7人か。特徴からして、みんな怪しそうだが…」
ファウストは考え込んだ。
「フライトちゃん、新聞社に手がかりがいろいろあったんだよね？」
カカオは、それが見たいようだ。
「ありましたよ。それも書き取ってあります」
フライトは、メモの写しを見せた。
その1
びっくり箱はマハラジャが作成したアイランド用アイテムの試作品で少々危険なもの。
作った箱は全部で3つだそうだ。
マハラジャは、今から4日前に実際に手に取って試してもらうために、エズメラルダ、ムスターファ、ムルダの3人に渡していた。
その2
エズメラルダは、1日前、2日前と海外へエサの仕入れに行っていて、その間は誰とも会っていない。
その3
博士の奥さんのジュリエットさんからの情報。
ミュラー博士が気絶する2時間前に、海外から戻ってきたばかりのエズメラルダを研究室に案内した。
博士が留守だったので、エズメラルダはすぐに帰ってしまったらしい（どうも怪しい）。
その後ずっとエズメラルダは自分の店にいた。
その4
2日前、盗難事件があったというので、その日のうちにムルダを取材した。
盗まれたのは「びっくり箱」だった。
アンケートの集計作業中に盗まれたのだという。
私の知る限り、この1週間で起きた盗難事件はムルダ事件だけだ。
私が知らないということは、他の盗難事件は起きていないと言っていいだろう。
その5
昨日、久しぶりに虫の話を聞きにムスターファの家に行った。
その時に「びっくり箱」がちゃんと棚に飾ってあるのを見た覚えがある。
その6
そういえば、3日前に盆栽の取材で匠ノ助の家に行ったところ、試作品の「びっくり箱」を見せてもらった。
誰かにもらったと言っていたな。
今日も「びっくり箱」は家にあるようだ。
容疑者の誰か一人は、3日前にびっくり箱を手放しているということか。
その7
昨日、海外出張中のエズメラルダから電話があった。
あわてて出かけたので、「びっくり箱」をスーツケースに入れて持ってきてしまったと笑っていた。
そそっかしい奴だ。
その8
現場の状況から見て、ミュラー博士を気絶させた犯人は一人だ。
その9
「そういえば！」とジュリエットさんが電話をしてきた。
ミュラー博士が気絶する20分前に研究室の掃除をしたが、その時にはまだ「びっくり箱」はなかったそうだ。
また、その後にジュリエットさんは買い物に行っていたらしい。
その間に誰かが置いたことになる。
その10
ベナルドは今日は宝くじを作っていて家から一歩も出ていない。
その11
ウーティはビーティと一週間ずっと一緒だった。
その12
ビーティは5日前から旅行に行って、今日帰ってきた。
「全部で12枚か…」
ファウストが言った。
「フライトちゃん、このメモ、日付順にはなってないよね？」
カカオが訊いた。
「そうなんです。なんだか、“訊いた順番に並べてある”っていう感じがしますね」
フライトは答えた。
「だったら、こういうのは、時間経過順に並べたほうがわかりやすい。ただ闇雲に並べると、推理がうまく進まないからな」
ファウストの言うことはもっともである。
「それじゃ、時間経過順に並べて、それから考えよう」
というわけで、三人の推理が始まった。
メモを時間経過順に並べ替え、そこから推理する三人。
また、カカオは、メモ毎に、気づいた点や考えられる点を書きとめていた。
「これはメモの番号毎にまとめたものだけど…」
「それも十分使えるな。見せてくれ」
ファウストに促され、カカオは、自分の考えを、ファウストとフライトに公開した。
カカオのメモは次のとおり…。
その1より
…4日前の段階で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ
○ムスターファ
○ムルダ
その2より
エズメラルダは、事件の1日前と2日前は誰とも会っていないようだが、3日前なら会った可能性がある。
その3より
…エズメラルダが博士の家に行ったのは2時間前。その後すぐに帰った。それからは自分の店にいる。
その9のことを考えると、犯行の2時間前に帰り、それから自分の店にいて、どこにも出かけなかったのなら、エズメラルダに犯行は不可能？
その4より
…2日前の段階で、ムルダは「びっくり箱」を持っていない。
3日前なら持っていたようだ。
他の誰かが持っている。
その5より
…昨日（1日前）の段階で、ムスターファは「びっくり箱」を持っている。
ただし、2日前と3日前はどうだかわからない。
その6より
…匠ノ助は、マハラジャから「びっくり箱」を直接もらっていない。
手に入れたのは3日前。
誰かからもらった？
また、事件当日、匠ノ助は「びっくり箱」を持っている。
その7より
…昨日（1日前）の段階で、エズメラルダは「びっくり箱」を持っている。
その8より
事件は単独犯。
その9より
…「びっくり箱」が仕掛けられたのは、事件の20分前から事件の間。
その10より
ベナルドは、事件の当日はどこにも出かけていない。
ベナルド自身が手を下すことは不可能？
その11より
ウーティとビーティは1週間行動を共にしている。
その12より
ウーティとビーティは5日間旅行に行っていた。
「びっくり箱」の試作品ができたのは4日前。
帰ってきてから誰かと接触がない限り、犯行は不可能？
「なんだか、事件がぼんやり見えてきたような気がするな」
ファウストが言った。
「これで、容疑者から外れる人がいますね」
フライトも言う。
「それは？」
カカオが訊いた。
「まず、ベナルドさんです。カカオさんの指摘にもあるとおり、この事件は、事件当日に出かけていないと犯行不可能です。ベナルドさんはずっと家にいたというので、ベナルドさんには犯行不可能です」
「そうだね。それは僕も同感だよ」
フライトの説に、カカオはうなずいた。
「俺もだ。ベナルドにアリバイがないのも事実だが、この証言が本当なら、ベナルドに犯行は不可能だな」
ファウストも納得したようだ。
「続いて、ウーティさんとビーティさんです。この二人もまた、カカオさんの指摘にあるとおり、びっくり箱は持っていないので、犯行は不可能です」
フライトは続きを説明した。
「俺も、それには納得だ」
ファウストはうなずく。
「カカオさんの指摘のとおり、誰かと接触でもない限り、犯行は不可能です。それに、このお二方は、1週間前から行動を共にしていたというので、この二人の犯行ともなれば、メモその8の内容が覆ります」
フライトは説明する。
「つまり、この二人は容疑者から外れる、と」
「そういうことです、カカオさん」
となると、容疑者は4人だ。
エズメラルダ、ムスターファ、ムルダ、島屋匠ノ助。
「ここで、時間経過が重要になってくるな」
ファウストが言った。
「そうそう、事件当日にびっくり箱を持っていなければ、犯行は不可能だよね」
カカオが指摘する。
「じゃあ、俺が時間経過と共に、箱の所有者を整理してみよう」
ファウストは、時間経過順にまとめたリストを書き出した。
びっくり箱の所持者
…4日前の段階で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ
○ムスターファ
○ムルダ
3日前の時点で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○匠ノ助
○ムルダ（ただし、3日前にすでに盗まれていたのなら、これは覆る）
○エズメラルダ（その7から考えて、もらったびっくり箱をそのままスーツケースに入れたようだ）
…ムスターファは持っていないということになる
（ムルダが3日前に盗まれていなければ、の話だが）
これから考えると、ムスターファが匠ノ助にびっくり箱をあげたようだ。
2日前の時点で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ（その7から考えて、出かけた2日前から所持していたと考えられる）
○匠ノ助（その6より。手に入れた後手放さなければ、の話だが）
○？？？（ムルダのびっくり箱を盗んだ張本人）
昨日（1日前）の段階で、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ（その7より）
○ムスターファ
○匠ノ助（その6にて、事件の3日前に手に入れたとある）
事件当日、「びっくり箱」を持っていたのは、
○エズメラルダ（スーツケースに入れっぱなしだった、ということが条件）
○匠ノ助（メモ6より）
○ムスターファ（1日前の段階がそのまま適用されれば、の話）
「…つまり、ムルダさんは容疑者から外れるということになりますね」
フライトが言った。
「事件の2日前に、箱を盗まれたんだからね」
「そのまま箱が戻ってこなければ、ムルダには犯行は不可能だ」
カカオもファウストも、フライトの説にうなずく。
「となると、容疑者は三人…」
カカオがこう言うと、ファウストが付け加えた。
「いや、二人だ」
「あ、そうか！ エズメラルダさんにも、犯行は不可能ですね。カカオさんも指摘しているじゃないですか」
「あ、それもそうだね」
そう、フライトが手に入れた手がかりから、カカオは、エズメラルダを容疑者から外していたのだ。
「となると、容疑者はムスターファか島屋匠ノ助か…？」
ファウストは考え込んだ。
三人の推理は、容疑者を二人に絞り込んでいた。
「そもそも、なんぜムルダさんのびっくり箱を盗んだんだろう？」
カカオが言った。そう、事件の2日前に、ムルダのびっくり箱が、何者かに盗まれているのだ。これは事実である。
「…事件の前日には、ムスターファさんがびっくり箱を持っていますね。3日前は持っていたのに」
フライトが言った。
「待てよ…。となると、箱を盗んだのはムスターファか？」
ファウストは、そういう結論に達した。
「……そうなるよね…。事件の前日には箱を持っていたんだし、箱は3つしかないから」
カカオも言う。
「それじゃ、なんで盗まなきゃいけなかったのかしら…？」
フライトは訊いた。だが、これは、カカオにもファウストにも投げかけられてはいなかった。もはや、ムスターファに向かって問われたことと言っていいだろう。
「だが、島屋匠ノ助が容疑者から外れたわけじゃない」
ファウストが言った。
「僕らが考えて、容疑者はこの二人のうちのどちらか、だね」
カカオの言葉に、フライトもうなずいた。
「そうですね…」
できれは、フライトは信じたくなかった。
次の日（4月2日）。
フライトは、予告されていた「野花の島」を手に入れていた。
また、新作アイテム「タンポポの種」を、アイランドに飛ばしていた。
そこへ…。
「フライトちゃーん！」
カカオとファウストがやってきた。
「あ、カカオさん！ ファウストさん！ 真相がわかったんですよ！」
「ええっ！？」
思ったよりもかなり早く、事件の真相が明かされたことに、カカオもファウストも驚きを隠せなかった。
「で、一体？」
カカオが訊いた。
「これを見てください！」
フライトの手には、リヴリータイムズの号外があった。
カカオは、フライトからそれを受け取ると、ファウストと共に見入った。
「……そういうことだったんだね」
読み終わってから、カカオが言った。
「まあ、穏便に済んでよかったな」
ファウストも言う。
「本当にそうですよ」
フライトも言った。
「ところで、バンブーアンケートパークには行ったの？ 犯人は誰かっていう推理のアンケート、やってたんでしょう？」
「いいえ、行きませんでしたよ、カカオさん。こんなに早く真相がわかるなんて、思ってもいませんでしたから。真相がわかってからアンケートに答えるというのもおかしいですし」
「それもそうだね」
「何はともあれ、解決してよかったよ」
「ええ」
こうして、三人は、またいつもどおり、いろいろなことを話していた。
おわり
今回は、勢いに乗って、小説仕立てにしました。
三人が事件の真相を推理する場面ですが、これは、昨日のうちに私が考えたことです。
今日になってから、バンブーアンケートパークに行こうと思っていたら、真相が明かされていたので、正直言って気が抜けました。アンケートの回答期限及びリヴリータイムズ社でのメモの公開日程を考えて、真相が明かされるのがもう少し先だったらよかったのに、と思いました。
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こんにちは。
昨日の博士気絶事件には驚きましたね。号外は読みましたが、eliceさんのカカオ君達による小説の方が解りやすく楽しかったです。
私も、今朝アンケートに答えるべくログインしたところ、こんなにも早く真相が公表され残念でなりません。しかも、私はアンケートパークには行ったのですが、既に違うアンケートになってました。
取材によって得られた情報の公開が今日までで、アンケートは昨日１日限定だったみたいです。号外の、あの細かい記事の中に書かれていただけなので、すっかり勘違いしてました。もう少し解りやすく、期限くらいはニュースにも書いて貰えたらと思いましたが、済んでしまった事なので仕方ないですね。
今月の島、買われたんですね。私は今のところ悩んでます。可愛いのですが、ツクシ野も再販されるので、どうしようかと・・・^^;
by tomoclub (2008-04-02 15:59)
＞tomoclubさん
nice!ありがとうございます。
今回は、ただあったことを書いて、私が考えたことを並べ立てるよりも、フライトたちに活躍してもらったほうが楽しいと思い、こういう形式にしました。楽しんでいただけて幸いです。
アンケートの回答期限は昨日だったんですね。できれば、もっと期間を延ばして欲しかったです。こうもあっさりと真相が明らかになるのは、なんだか気が抜けます。
私は、思い切って新作のアイランドを購入しました。そのために、資金がかなり減ってしまいましたが。つくし野の再販のことは、すっかり頭から抜けていました。すでにアイランド所持枠がいっぱいなので、今売り出しているアイランドが売れなければ意味がありません…。
by elice (2008-04-02 17:22)